日常生活

こどものはさみ、いつから練習?使ってもいい目安3つとおすすめ3選

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  • 子どもがはさみに興味を持ってきたけど、使わせてもいいのかな?
  • これから通園予定だけど、練習しておいた方がいいよね?
  • 周りは始めているみたいだけど、自分の子もはさみを練習した方がいいの?

子どもがいる保護者は、子どもにはさみを教える機会があるでしょう。
これから教える人は、いつから使わせていいのか、どんなことに気を付けたらいいか気になりますよね。

そんなお悩みに、現在3児の母で療育現場にて3年働いた経験がある作業療法士の たけのこ が、

  • 子どもにはさみを使わせていい目安3つ
  • はさみを教えるときの注意点
  • はさみを使うときに大人が気をつけること
  • 子どもに合うはさみの選び方4つのポイント
  • 子どもが使うはさみのおすすめ3選
  • はさみを使うのが早いと思った時の練習

について解説します。

この記事の最後に、1歳後半からでもできる、はさみの事前練習も紹介していますよ。
ぜひ最後まで、お読みください。

はさみの練習は2歳ごろ

一般的にはさみの練習を始めるのは、2~3歳が多いです。
早い子では、1歳6か月から始める子もいます。

作業療法士の視点から見ても、2~3歳なら大人の言うことを理解できたり手が器用になってきているので、はさみの練習を始めていいでしょう。
私の息子2人は3歳になったころ、娘は2歳半頃に練習を始めています。

ただ、「2歳になったから、さぁ始めよう!」と大人が意気込んでもいけません。

はさみを使ってもいい目安3つを紹介していきますので、一緒に確認していきましょう。

はさみを練習してもいい目安3つ

はさみは刃物です。使い方を間違うと、怪我につながります。
はさみを練習してもいい目安は3つあるので、以下を確認してみましょう。

はさみを練習してもいい目安3つ

  1. 大人の言うことが理解できるか
  2. 体を安定させて座っていられるか
  3. 指先だけで動かすことができるか

それでは、ひとつずつ説明していきますね。

1.大人との約束5つが守れるか

子どもがはさみを使うときは、以下の5つを約束するようにしましょう。
これらが守られないと、怪我につながります。

  • はさみを使うときは大人と一緒にする
  • はさみの刃を触らない
  • 座って使う
  • 相手に渡すときや持ち運ぶ時は、刃の方を握る
  • 刃先を人に向けない

大人が初めて道具や機械を使うときは、誰かに説明を聞いたり説明書を読んだりしますよね。

子どもも一緒で、まずは使い方を知ることが大切です。
ただ、子どもが説明書を読んで理解するのは難しいので、大人が説明してあげましょう。
子どもは見て真似をすることが得意なので、大人が使っているところをゆっくり見せてあげてください。

また、危険性も教える必要があります。
言葉で伝えて理解できるといいですが、2~3歳では難しいこともあるでしょう。
絵本やポスターを使って、視覚的にも分かりやすく伝えるとよいです。

以下2つ、おすすめの本を紹介します。


本の対象年齢は、2歳からとなっています。
はさみの楽しさと、危険性を知ることができますよ。

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この本は、はさみの楽しさと、危険性を学べます。
決まったところへの片づけの大切さも、描かれていますよ。

2.体を安定させて座っていられるか

子どもが座ったときに足をブラブラさせて体が動いてしまったり、肘をついていて手の方に体重がかかっていませんか?
体が不安定な状態ではさみを使うと思わぬ方向へ動き、怪我につながります。

以下のよい姿勢のポイントを参考に、椅子や机の高さを調整してあげてください。

よい姿勢のポイント

  • 足を床(台)につける
  • 机に軽く手を置く
  • 背筋はまっすぐ
  • 膝、股関節、肘は90°

3.手の動きができているか

はさみを開閉するときの、手の動きを3ステップで確認します。

  • つまむ形ができているか
     はさみの開閉はグーパーではなく、つまむ形に近いです。
     指先と指先でつまめているか、確認しましょう。
     
  • つまむ形で手を開閉できるか
     大人が動きを見せながら「パクパクしてね」と伝えます。
     子どもは真似が得意なので、しっかり見せてあげましょう。
  • 親指を上にできるか
     ②の段階では、てのひらが下向きになっていたのではないでしょうか?
     ここでは、てのひらが横向きでパクパクできるかを確認しましょう。
     はさみを使用するときは、この向きです。

はさみを使うときに大人が気を付けること

子どもが正しく安全に使えるようになるまでには、大人が気を付けることが以下の3つあります。

  1. 目を離さない
  2. 使い終わったらすぐ片付ける
  3. 子どもに合ったはさみを使う

1つずつ解説していきます。

1.目を離さない

子どもがはさみを使っている時は、絶対に目を離さないでください。

紙以外の物を切ったり、指を切ってしまうことがあります。
はさみを持ったまま立ち上がったり、他人に刃先を向けたりと危ない行為をするかもしれません。

危険行為があったらすぐに注意し、安全に使えるよう声をかけましょう。

2.使い終わったらすぐ片付ける

はさみが楽しくなってくると、自分でやりたい気持ちが大きくなります。

子どもがはさみを使い終わったら、手が届かない見えないところへ片付けましょう。

見えるところに置いておくと、勝手に使うことが考えられます。
大人が知らないうちに大事な書類を切ったり、髪を切ったりしているかもしれません。
最悪の場合、怪我をするかもしれません。

3.子どもに合ったはさみを用意する

はさみは子どもの手に合うものを用意しましょう。
はさみの長さ、穴の大きさを確認します。

合わないものを使うと使いづらく、怪我をするかもしれません。

以下にはさみの選び方を紹介していきます。

子どものはさみの選び方4つのポイント

はさみは、種類も大きさも多様です。
たくさんのはさみの中から、子どもに合うはさみを選ぶことは難しいですが、ポイントを絞ると選びやすくなります。

はさみを選ぶポイントは以下の4つです。

  1. 利き手
  2. はさみの刃の素材
  3. はさみの大きさ
  4. はさみの軽さ

1つずつ解説していきます。

1.利き手で選ぶ

利き手には右・左がありますが、はさみを初めて使う2~3歳では利き手がはっきりと決まっていません。
しっかり定まってくるのは、4歳頃*と言われています。

*参考文献

R.P.Erhardt 著/紀伊克昌 訳『手の発達機能障害』医歯薬出版株式会社,1988年

では、利き手が決まっていない時期の、はさみはどうしたらいいでしょうか。

利き手を基準にはさみを選ぶなら、以下の2つがあります。

  1. 左手ばかり使う子は、左利き用のはさみ
  2. 右手ばかり使う子や、右手・左手を同じくらい使う子なら、右利き用はさみ

日本人の利き手の割合は、右:左=9:1と言われています。
利き手がはっきりするまでは、両手を使いながら使いやすい手はどちらか探っています。
成長の中で、細かい調整や速く動かせる手を、利き手と決めていくのです。

②の場合は、右利き用はさみを使っていき、利き手がはっきりしてきた時期に見直すといいでしょう。

つまり、明らかに左ばかり使う子は左利き用はさみ、それ以外の子は右利き用を選びます。
左利き用はさみは左手に、右利き用はさみは右手に持たせてあげてください。
はさみによっては反対で持つと紙が切りにくかったり、切れても切るところが見えにくくなってしまいます。

右手用のはさみを左手・右手で持った時の線の見え方

2.はさみの刃で選ぶ

子ども用のはさみの刃の素材は、プラスチック製と金属製に分けられます。
特徴を比べてみましょう。

プラスチック製金属製
安全性
薄い紙のみ

指を切るかも
紙の切りやすさ
コツが必要

サクサク切れる

プラスチック製は紙しか切れないので、はさみの動きの練習用として使いましょう。
はさみによってはコツが必要なので、金属製より難しいかもしれません。

私の療育現場での経験上、子どもによっては紙が切れないことで癇癪をおこし、はさみを振り回したり投げたりする子もいました。
プラスチック製でもはさみを振り回すと危険なので、声掛けで止めて正しい行動を教えましょう。

金属製では、薄い紙以外に画用紙、牛乳パック、ビニール袋などが切れます。
切ることに慣れてきたり工作を楽しみたい子には、金属製がおすすめです。
金属製のはさみを選ぶ場合は、以下のような安全性の高いものを選びましょう。

  • 刃先が丸いもの
  • 刃がプラスチックなどで覆われているもの
  • 刃先のカバーがついているもの
  • 刃の断面図がとがっていないもの

3.はさみの大きさで選ぶ

大きさが合わないと、はさみが不安定になり切りにくいです。
大人でも園芸用の穴が大きいはさみは、使いづらいですよね。

市販に売っている子ども用はさみの対象年齢は、3歳からのものが多いです。

はさみの練習を早めに始めた1歳半や2歳の子にとって、はさみの穴が大きいことがあります。
写真のようにフェルトや毛糸を巻いて、はさみの穴を調整すると使いやすくなるので、試してみてください。

4.はさみの軽さで選ぶ

子どもは力が弱くはさみを持っているだけでも負担になるので、できるだけ軽いものを選びましょう。

実際の重さだけでなく、軽い力ではさみを開閉できるか確認してください。

はさみを閉じるときに力が必要であれば、勢いよく力を入れてはさみのコントロールを失い、指を切ってしまう可能性が出てきます。
さらに子どもは手を開く力が弱いので、はさみを開くことに苦労します。

そのため、はさみが軽いもの、開閉がしやすいものを選びましょう。

2~3歳におすすめ、安全性・切れやすさを兼ね備えたはさみ3選

ここからは、安全性と使いやすさを踏まえて、おすすめのはさみを3つ紹介します。

1.手が小さい子におすすめ:PAUL(パウル)


右利き・左利きどちらもあり
想定年齢2歳~4歳頃まで
刃の素材ステンレス
切れる素材紙・紐
切れ味◎ よい
長さ(㎝)10.8
重さ(g)16.0
特徴・ドイツ製
・手は切れない
・右利き用だが、左手でも切れる
・刃先は丸い

PAUL(パウル)はドイツ老舗のはさみ専門メーカーです。

このはさみの特徴は、「紙は切れるけど、手は切れない」ところです。
独自の加工をした特殊な刃先によるもので、初めてはさみを持つ子でも安全に使えます。

大きさは子ども用はさみの中でも小さめで、子どもの手に収まりやすくなっています。
手にフィットし軽いものなので子どもが扱いやすく、早くはさみの習得できるでしょう。

さらに、右利き用ですが左手でも切れるので、利き手が決まっていない2~3歳にはストレスなく切ることができます。

2.ザクザク切りたい子におすすめ:きっちょん


右利き・左利きどちらもあり
想定年齢2~5歳
刃の素材ステンレス
切れる素材紙・ビニル・紐など
切れ味◎ よい
長さ(㎝)13.5
重さ(g)26.5
特徴・刃はプラスチックで覆われている
・刃の断面はとがっていない
・右利き用だが、左手で切れる
・スプリング付き

文房具で有名なクツワが作っている教育用のはさみで、グッドデザイン賞を受賞しています。

ステンレス刃ですが「押して切る刃」になっています。
刃の断面が平らなので刃に触れても怪我をしにくくなっていますが、押し切り刃はふつうのはさみに比べて切るときに力が必要です。
ふつうのはさみに慣れている子は、使いづらさを感じるかもしれません。

推定年齢が2歳からとなっており娘が2歳半の頃に試しましたが、少し大きかったようです。
手を開いてもはさみの開きが小さく、紙を切るときは刃先のみで切りにくそうにしていました。
3歳を過ぎたころに試したらサクサク切っていたので、おすすめは3歳頃からと言えるでしょう。

はさみの間にスプリング(ばね)がついているので、はさみを開くことをサポートしてくれます。
開くことは簡単になりますが、逆に切るときはさらに力が必要になるので気を付けましょう。
このスプリングは収納して使わずに、ふつうのはさみとして使うことも出来ます。

3.持ち方をきっちり覚えたい子におすすめ:こどもちゃれんじ はじめてのはさみ


右利き・左利きどちらもあり
想定年齢2歳半~6歳
刃の素材ステンレス
切れる素材
切れ味◎ よい
長さ(㎝)13.5
重さ(g)65
特徴・ハンドルは滑りにくい素材
・ハンドル厚めで手にフィット
・ケース付き
・持ち方が分かりやすい目印つき

対象年齢が3歳からで、少し大きめです。
ハンドルは握りやすく設計されていますが、厚い分だけ重くなっています。

刃先は尖っていませんが、刃部分は大人のものと同じで鋭利です。
紙はサクサク切れますが、同時に指を切る可能性があるので注意しましょう。
ストレスなく紙が切れるので、細かい作業がしやすくなっています。

穴の大きさが違うので、持つときにはさみの上下を気に付ける必要がありますが、子どもには「黄色を上にしてね」と教えやすいですね。
目印がついているので、子どもが難しく感じる「はさみを立てる」ことも視覚的に分かりやすいでしょう。

ケースがついているので、持ち運び時や収納時には安全です。

おすすめ記事

はさみを始める時期のQ&A

ここからは、はさみの始める時期についての疑問について、Q&Aにまとめました。

これから入園予定だけど、練習しておいた方がいいですか?

保育園や幼稚園では、はさみを使って工作することが出てきます。
特に年少にあたる3歳児からは、意識的に活動へ取り入れている園もあります。

先生も見てくださりますが、子どもに1対1では教えられないので、自宅で時間があるときに練習しておきましょう。

やったことがあるだけでも、子どもは活動に取り掛かりやすくなります。

はさみは早めに始めるといいですか?

はさみを使うにあたっては、練習してもいい目安3つを踏まえて、子どもの様子を見ながら練習を始めましょう。
2~3歳はイヤイヤ期でもあるので、早めに始めればいいというものではありません。

文献で探して記載がありましたので以下、紹介します。

道具使用の発達は、姿勢コントロールと性格な道具の位置づけに加えて、触覚、運動覚、運動システムの協調が必要であり、ハサミスキルの一連の発達は経験だけではなく、成熟によっても生じ発達順序に従う傾向にある。

Schnech, C. and Battaglia, C. 堺信哉訳.幼児におけるハサミのスキルの発達.Care-Smith, J. etal. 奈良進弘ほか監訳).ハンドスキル.東京,医歯薬出版社,1997

つまり、はさみは経験も必要だけど、他の感覚や運動機能の発達でもはさみを上手に使えるようになります、ということですね。

2歳でいくらはさみを経験しても他の感覚や運動機能の発達が未熟なので、大人のように線の上を切ることは難しいのです。

線の上を切れるようになるのは、いつですか?

直線と折れ線および曲線が1㎜幅の線の通りに切れるようになるのは6歳6カ月であった。

森下孝夫ほか著.ハサミで線や形を切る発達時期の調査.広島県立保健福祉短期大学紀要 4(2) 37-45.1999

保育園児と小学生に紙を切ってもらい、線からはみ出た距離を測った実験の論文です。
直線をはみ出ずに切れるのは6歳6か月、年長から1年生に当てはまります。
○や△などの形の切り抜きが上手にできるのは、まだまだ先です。

はさみの事前練習はありますか?

「ハサミはまだ早いかも」と思われた方に、はさみの前段階の遊びを3つ紹介します。

1.洗濯ばさみ遊び

洗濯ばさみで遊ぶことで、以下の3つの力がつきます。

  • 指先でつまむ手の形
  • つまむ力
  • 挟む練習

はさみを使用するときも刃と刃の間に紙を入れるので、挟むことに似ています。

洗濯ばさみをつなげたり、おままごとの洗濯ごっこでも楽しめますね。

2.トング遊び

用意するトングは、小さめで柔らかい物がおすすめです。

トングで遊ぶことで、以下の2つの力がつきます。

  • 挟む練習
  • 手の力

つまむ物はなんでもいいですが、小さくなりがちなので誤飲には注意です。

洗濯ばさみより持つ面積が多いので、月齢が低くても扱いやすくなっています。

紙コップで人形遊び

紙コップ人形の作り方と遊び方
  1. 紙コップに、縦2本切り込みを入れます。
  2. 半分に折る
  3. お絵描きをする
  4. パクパクさせる

紙コップ人形で遊ぶことで、以下の力がつきます。
こちらも指先でつまむ練習や、はさむ練習ができますよ。

  • つまむ手の形
  • 挟む練習

紙コップは軽いので、力はいりません。
子どもの好きな動物やキャラクターを描いてあげてください。
2つあれば、親子で会話を楽しむことができます。

まとめ

この記事では、はさみの練習はいつからかを解説してきました。
内容をまとめると、以下の通りです。

  • はさみの練習は年齢だけで判断してはいけない
  • はさみを使うには、言葉の理解力と身体機能が必要である
  • はさみを選ぶには4つのポイントがある

子どもに合うはさみを選んであげて、子どもが楽しくはさみを使えるようにしてあげてください。

  • この記事を書いた人

たけのこ

療育経験のある作業療法士|自助具の作成が得意|3児の母|

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