こどもにはさみを教えたいけど、どんな方法で教えたらいい?
何から教えたらいいのかな?
はやく上手になってほしいな…
こんにちは。
療育経験がある作業療法士 たけのこ です。
この記事では、はさみの教え方のポイントを解説していきます。
この記事を読んで教え方を工夫すると、はさみの使い方が上手になりますよ。
はさみは刃物なので、使い方を間違えると怪我につながります。
どういう風に教えたらいいか、どこに気を付けたらよいか、この記事でお伝えしていきます。
こどものはさみ、教えること3つ
はさみについて、こどもに教える必要があることは3つあります。
教えること3つ
- 危険性
- はさみの持ち方、使い方
- 紙の持ち方
ひとつずつ解説しますね。
危険性
はさみは刃物です。使い方を間違うと、怪我につながります。
こどもは、言葉だけで聞いても分かりにくいです。
ましてや、使いはじめの2~3歳は、特にそうだと思います。
危険性を教えるには、絵本を使って伝えると、こどもも分かりやすいですよ。
おすすめの絵本を紹介します。
こちらは、はさみの楽しさと危険性を教えてくれます。
ワニワニは、はさみで指の先を切ってしまいます。
包帯をグルグル巻く場面が出てくるので、子どもたちは視覚的にも「けがをする」ことが、分かりやすくなっています。
怪我をしながらも、工作を続けるワニワニです。
工作は楽しいんだ、と伝えてくれる本ですよ。
こちらも、はさみの楽しさ、危険性を教えてくれます。
大事なはさみ、使ったあと、そのままにしておくと……どうなったでしょう?
使用後はどうしたらいいかも、考えさせてくれますよ。
はさみの持ち方・動かし方
意外と大人も見落としがちですが、きっちり教えておくと、安全に使えます。
ポイント
- 親指と、そのほかの指2~4本を分けて穴に入れる
- はさみは寝かせない(紙に対して垂直)
- 刃は前向きに
- はさみは開閉のみで、前後左右には動かさない
親指と、そのほかの指2~4本を分けて穴に入れる
こどもの場合、その他の指2本では、はさみを安定させて持つことが難しいことがあります。
穴に余裕があれば、3本、4本入れると、安定しやすいです。
はさみは寝かせない(紙に対して垂直)
はさみが寝ていると、紙がしなってしまい、切りにくくなります。
上手に切れない子は、はさみが紙に対して垂直になっているか、確認してあげてください。
難しい場合は、はさみに印をつけて、「印が見えるように持ってね」と声掛けしてあげると、切りやすくなりますよ。
刃は前向きに
はさみに慣れていないと、横向きで切ることがあります。
横向きでは、自分の指を切ってしまう可能性があります。
「はさみを前向きにする」というのは、自分のこども3人に教えてきましたが、できるようになるまで時間がかかったように思います。
今は、こども用はさみを購入すると、はさみの持ち方や向き、紙の持つ位置などのガイドがついているものがあります。
こちらは、初めてさん用のプラスチック刃のはさみです。
紙を持つ位置、刃先の向け方の練習用台紙がついているので、大人は教えやすいです。
こどもも視覚的に分かりやすいですよ。
はさみは開閉のみで、前後左右には動かさない
連続切りや、形の切り抜きなどで、よく見られるのですが、どうしてもはさみを動かしがちです。
今後、細かい工作をするのであれば、紙を動かすことが必要です。
大人が紙を切るときも、きっと、紙を動かしていると思いますよ。
はさみを持つ手は動かないように、机に軽く手を置いておくなり、印をつけて動かないように教えるといいです。
紙の持ち方
紙にも、持ち方がありますよ。
自分でやってみると分かるのですが、持ち方によって、動かしやすさが全然違います。
写真の「✕」の持ち方では、手首が動かしにくく、細かい動きができません。
こどもも一緒なので、「〇」の形で持つように、教えてあげてくださいね。
練習手順 5ステップ
次に練習手順を紹介しますね。
声かけ方法だけでも、上手になりますよ。
1.1回切り
まずは幅1㎝ほどの紙を切っていきましょう。
「ぱっちん」や「ちょっきん」と声掛けすると、イメージが湧きやすいです。
ここでは、はさみの仕組みを学習し、力の加減や、はさみの開閉、紙の持ち方に慣れることが重要です。
切れるようになったら、紙に線を描いて、線にはさみを合わせる練習に移りましょう。
ただ、直線の上をはみ出さずに切れるようになるのは、はさみの経験が多い子や4歳ぐらいの子からです。
2.途中で止める
これは見逃しがちですが、大事です。
直線でいいので、紙を切り落とさないように、はさみを途中で止める練習です。
これができるようになると、折れ線や曲線切り、形の切り抜きが上手になります。
止めるところで「ぴたっ」や「ストップ」と言うと、分かりやすいですよ。
3.連続切り
2~3回で切れる幅の紙(5㎝程度)を切りましょう。
あまり大きな紙は、こどもにとって持ちにくいです。
連続切りでは、はさみは最後まで閉じないように、教えてくださいね。
閉じてしまうと、紙とはさみが離れて、切り口がギザギザになります。
「ちょっきん」「ぱっちん」ではなく、「じょきじょき」「ちょきちょき」だよ、と伝えると、うまいこと切れるようになります。
オノマトペで伝えてあげると、子どもは分かりやすいですよ。
4.折れ線・曲線切り
今度は、紙を動かす練習です。
折れ線や曲線は、角度がゆるいものを選びましょう。
鋭い角度では、紙の動かし方が大きくなり、難易度が上がります。
連続切りでは、紙の幅が5㎝程でしたが、もう少し幅が大きくても大丈夫ですよ。
線は描いてあっても、まだまだ上手にはいきません。
折れ線や曲線が上手に切れるようになるのは、だいたい6歳半くらいです。
5.形の切り抜き
紙を大きく動かしたり、はさみを滑らかに動かしたりする練習です。
まずは、四角形や多角形がおすすめです。
三角形では、曲がる角度が鋭いので、紙を大きく動かす必要があり、難易度が高いです。
また円を切るには、はさみと紙を同時に滑らかに動かす必要があるので、難易度が上がります。
難易度は高いかもしれませんが、形の切り抜きにチャレンジしてみましょう!
練習することで、手先が器用になりますよ。
線をはみ出さずに切れるようになるのは、四角形では6歳半ごろ、三角形と円は7歳半ごろとなっています。
*年齢の参考は、文献「森下孝夫ほか著.ハサミで線や形を切る発達時期の調査.広島県立保健福祉短期大学紀要 4(2) 37-45.1999」より
教材の紹介
ここからは、こどもも楽しめる教材を紹介します。
はさみを使うのに抵抗がある子におすすめ
こちらは、ベネッセのワークです。
はじめてのはさみに抵抗がある子は、こちらがいいかもしれません。
シール貼りや、紙をちぎって貼る課題があるので、そちらから慣れてはさみもついでに、という感じです。
ちなみに、うちの子はこれで、はさみデビューしました。
ワークを一緒に買いに行ったのですが、やはり「はさみだけ」というのに、抵抗があったようで、シールにつられて買いました(汗)
初めはお絵描きから入り、ワークに慣れてきたころに、はさみの課題が出てきます。
また、工作1つ1つに簡単なお話があるので、「はさみで切る」ということが目的とならず、はさみをすんなり受け入れてくれましたよ。
きちんとはさみデビューしたい子におすすめ
こちらはワークの初めに、持ち方や約束事を絵で描いてあります。
一緒に絵を見ながら説明できるので、大人も教えやすかったですよ。
対象年齢は2歳から、となっていますが、3歳でデビューの子でも楽しめます。
内容は、1回切りから丸く切るまであるので、1冊である程度の練習ができます。
紙はB5サイズで、こどもも扱いやすい大きさなので、よかったみたいです。
また、ただ切るだけではなく、切った後も遊べるような工作になっています。
うちの子も切った後、楽しんでおままごとや作れた作品で遊んでいましたよ。
はさみをたっぷり練習したい子におすすめ
こちらは、1回切りから形の切り抜き、さらには立体図形の組立までセットです。
初めの練習台紙は、キャラクターや絵がないので、はさみに集中したい子にはおすすめです。
全部で62枚入っており、順番に練習していくので、こどもも楽しくステップアップできます。
図形の組立は、大人と一緒にすると、コミュニケーションが取れて、一緒に達成感が味わえますよ。
まとめ
いかがでしたか?
はさみを使うには、いろいろなことに注意しないといけません。
ですが、使えるようになることで、指先が器用になったり、創造力が発達したり、何より自信につながります。
こどもたちが、楽しく安全に使えるようにサポートしていきましょう!