子どもが箸を持ちたがっているけど、どういう風に教えたらいい?
握り箸やX箸になっているけど、練習方法はあるの?
食事中に教えるのは、難しいかも…
子どもを持つ親であれば箸の使い方を教える時がきますが、うまくいかず悩んでいる方も多いと思います。
大人にとっては当たり前に使っている箸ですが、子どもにとってはすごく難しく感じています。
この記事では、どうしたら楽しく箸を習得していけるのか、教え方はどうしたらいいのか、療育経験がある作業療法士で3児の母の私が悩みを解決していきます。
ぜひ最後まで読んでください。
箸を使い始める時期と上手に使える時期
箸を使い始める時期は個人差がかなり、2~3歳で始める子がもっとも多い*1ですが、1歳や3歳で始める子も多いです。
箸を使い始める時期の目安としては、以下の3つに当てはまります。
ただ箸は「使っている=上手に使う」とは違うので、教える大人も悩ましいですよね。
箸をきれいに持てていても、いざ物を挟むとなるとX箸になる子も多いです。
大人(20代以上)で正しい持ち方をしている人は約50%、幼児から中学生までで正しい持ち方をしている子は少なかった*2と言われています。
箸の標準の持ち方に確立するのは15歳以降*3ということも言われています。
箸を持つには手の大きさや筋肉が影響してくるので、持ち方も少しずつ成長していくのでしょう。
幼児の時点できれいに持てないからと言って焦る必要はありません。
小学校へ入学すると給食時は箸が主になるので、持ち方はどうであれ使えるようになっておきましょう。
箸が難しかったらサポート付きの箸を使うのもあり
作業療法士の私の見解としては、食事中は楽しく食べて欲しいと考えています。
食事中に箸の使い方を学習するより、遊びの中で習得していくと楽しく練習できるでしょう。
食事中に箸の練習を嫌がる子や食事中に疲れてしまう子は、遊びの中で箸を習得することを考慮します。
時間を短く区切ってもいいですし、好きなものを食べる時だけ箸の練習などでもOK。
食事中は箸だけでなく、スプーンやフォークを併用しても大丈夫です。
普通箸を使うことが難しかったら、サポート付きのものを使用してもいいでしょう。
サポート付き箸は以下のような種類があるので、子どもの発達段階によって選んでみてください。
- 挟むことを学習するもの
- 箸を開くことをサポートするもの
- 手の力加減を学ぶもの
- 持ち方を教えてくれるもの など
サポート付きの箸を使用する場合は、発達するにつれてサポートを減らしていくことが必要です。
段階的に練習できるものや、いくつかの箸を使い分けてステップアップしていきましょう。
サポート付きの箸は、こちらの記事で紹介しています。
4歳の娘は2歳で箸を使いたがりましたが、うまく挟めないと1口しか食べていなくても食事が終わってしまいました。
もともと食がかなり細く、とりあえず量を食べて欲しかったので「楽しく食べること」を優先し、バネ付きのサポート付きの箸で対応しました。
現在は保育園では普通箸、自宅の食事では疲れがあるのでサポート付き箸を使っています。
普通箸の持ち方
箸を正しく持っているのは大人でも半分程度*2です。
子どもに教える前に、一度自分の持ち方も見直してみるといいかもしれません。
ここでは3ステップで箸の正しい持ち方を、確認していきましょう。
1.上の箸を持ち方を覚える
鉛筆を持つように、親指・人差し指・中指の三点持ちをします。
力が入りすぎていると、動かしづらくなるので優しく持ちましょう。
持つ場所は箸の頭の方3分の1を目安にします。
2.下の箸の持ち方を覚える
下の箸は親指の付け根と、薬指の爪の横部分で支えます。
下の箸は動かさないようにしましょう。
子どもでは下の箸を動かさないことが難しく、下の箸が固定できてくるのは5歳頃*1となっています。
ただ5歳でも個人差が大きいので、焦らず学習していきましょう。
3.2本を同時に持つ
上と下の箸の持ち方をそのまま組み合わせます。
動かすのは上の箸のみで、食べ物を挟みましょう。
箸を使うのは難しく、上手に使えるようになるには長い期間かかります。
焦らずゆっくり練習していきましょう。
箸の練習につながる、手を使ったおすすめの遊び
箸を使うには手の筋肉の発達や大きさが必要で、手の中でもつまむ指と握る指があるので使い分けが必要です。
自分で箸を使ってみると分かるのですが、箸の上側(親指・人差し指・中指)は動かしていて、下側(薬指・小指)は固定していることが分かります。
楽しみながら手の機能を発達させる遊びを、手の発達順に紹介します。
1.1歳からできる、つまむ手の形を練習する遊び
「つまむ手の形=三点持ち」は親指・人差し指・中指で行い、しっかり物を持てることが必要です。
つまむことができるようになってくるのは1歳前後です。
初めは親指と人差し指の横で挟むこともありますが、指先でつまめることを目指しましょう。
紙をちぎったり、シールを貼ったりすることでも指先を使いますし、年齢が低い場合は以下のおもちゃでもいいですね。
太さや大きさで難易度が変わってくるので、その子に合わせて選んであげて下さい。
2.つまんだままで細かい動きをする練習する遊び
つまんだ手の形のまま動かす練習です。
動かしているうちに、つまむ形が崩れないことを目指しましょう。
鉛筆を持って迷路やお絵描き、細いところへの棒入れなどもおすすめの遊びです。
できれば手首ではなく、指先だけで動かせるといいでしょう。
持つものの太さは鉛筆くらいがいいですが、難しい場合は太めから始めても大丈夫です。
手を使って遊ぶことで、筋力や力の調整ができるようになってきます。
3.薬指・小指を固定しておく練習する遊び
薬指と小指を握った形で保つ練習です。
つまむ形ができていても、薬指と小指が立っていては箸の固定ができません。
体を手で支えたりぶら下がったりすることで、握る力がついて安定させることができます。
雑巾しぼりや、ジャングルジム遊び、鉄棒などがいい遊びです。
難易度が上がりますが、おはじきを片手で一つずつ拾うとつまむ指と握る指の使い分けの練習ができます。
4歳娘はぎこちなさが残り、9歳息子はスムーズでした。
箸を使ったおもちゃ遊び
箸の事前練習ができてきたら、箸を使った遊びに移行してみましょう。
食事用と遊び用で、サポートの種類が違う箸を練習しても大丈夫です。
はさむ物は四角く弾力があるものがよく、おもちゃの中ではスポンジを切ったものやフェルトを丸めた物、粘土などがおすすめです。
以下の二つは滑りにくい素材なので、箸に慣れていない子でもはさみやすくなっています。
子どもの箸を習得するのは焦らずゆっくり
子どもの箸について、使い始める時期と箸の持ち方、箸を使用する前にできる遊び、実際に箸を持つ練習方法をお伝えしました。
箸の習得は難しく長い時間がかかるので、焦らず子どもに寄り添うことが必要です。
たくさん手を使って、箸を上手に使えることを目指しましょう。
参考文献
*1 幼児期における箸を用いた食べ方の発達過程 一手指の微細運動発達と食物捕捉時の箸の動きについての縦断観察一,小児保健研究,65(4),2006(569~576)
*2 箸の持ち方・使い方の発達段階別の差異,瀬木学園紀要 (8), 7-, 2014-08-31
*3 小中学生における箸の持ち方と鉛筆の持ち方との関連,日本調理科学会誌Vo1.38,No.4,355~361(2005)